INAZUMA稲妻 cast


宮田亜紀(みやた・あき)

1976年生まれ。00年、オムニバス映画「シネマGOラウンド」の『桶屋』(西山洋市)、『月へ行く』(植岡喜晴)を皮切りに、西山洋市『CH4メタン』(02)、高橋洋『ソドムの市』(04)、浦井崇『伊達ハリー』(05・「新人刑事まつり」の一篇)などに出演。

宮田亜紀コメント

『INAZUMA 稲妻』はいつもと違っていました。西山監督の現場は淡々とスムーズに進んでいく印象があったのですが、今作品ではテイクを重ね、じっくり、粘っこく撮られていたように思います。

「プロジェクトINAZUMA」BLOG2006年5月31日

宮田亜紀について(西山洋市)

 主役のセリを演じた宮田亜紀には、これまでコメディ『桶屋』とスリラー『CH4メタン』の2本に出てもらった。『桶屋』では、のんきで、おっとりした、気のいい女の子の役。『CH4メタン』では、まったく正反対の、レズビアンで、何を考えているのか分からない、不気味で、冷酷な、犯罪的性向を持った女の役をクールに演じている。特に『CH4メタン』は彼女の女優としての代表作の1本と言ってもいいと思う。まだ見ていないという人は絶対に、あの宮田亜紀も見るべきだ。

『INAZUMA 稲妻』のセリは、それらとはまったく違う、感情的に激しい振幅のある芝居を必要とする役、しかも男女の愛欲が顕わになるような異常な立ち回りもあるというようなホットな役だが、初めから彼女に決めていた。彼女に向いているかどうかとか、彼女に出来るかどうか、などとはまったく考えなかった。彼女がセリとして動き、言葉を発しているのが、画として見えていたのだ。多分、彼女は、そのように、芝居のヴィジョンが演出家に見えるタイプの役者なのだ。そこがいいのだ。だが、次には、そういうものが見えないような役で、彼女に無理にでも出演してもらいたいと思っています。


松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年生まれ。現代美術家。90年、アートユニット「コンプレッソ・プラスティコ」でヴェネツィア・ビエンナーレ・アペルト部門に世界最年少で出展。以後、写真、パフォーマンス、グラフィックデザイン、空間デザインなど幅広い分野で活躍。「昭和40年会」会長。

6月6日(水)~7月7日(土)、ミヅマアートギャラリーにて、松蔭浩之×津村耕佑作品展「妄想オーダーモード」を開催。(ミズマアートギャラリー

昭和40年会

松蔭浩之コメント

十数年ぶりの電話。私にとっては久々の俳優業のオファーだった。西山監督のデビュー作である「おろし金に白い指」で、主人公の夫役を演じさせていただいたのが1991年だったと記憶しているから、随分と長いブランクである。

「今のオレを確認せずに決めちゃっていいんですか?」

「イイんです。決定」

「プロジェクトINAZUMA」BLOG2006年5月31日

松蔭浩之について(西山洋市)

 出来るかどうか、向いているかどうかは、もう一人の主役の加島をやってもらった松蔭浩之に関しても考えなかった。だいたい松蔭君とはもう何年も会っていなかった。ただ、彼からもらった展覧会の案内のメールで、彼の最近の自画像は見ていた。松蔭君の本業は現代美術のアーティストだ。かなり有名なアーティストだ。その本人が描いた自画像なのだから間違いはなかろうと、本人に会って今現在の容貌を確認することもせずに電話で出演を依頼してしまった。十数年前にテレビドラマ(『おろし金に白い指』)に出てもらったときの芝居の印象と最近の自画像のイメージ、それだけが根拠だが、僕の直感は間違っていなかった。高橋洋(『おろし金に白い指』脚本)は、松蔭君の「顔」が昔より「分厚くなっている」と表現したが、つまり、被写体として昔より数段「分厚く」なっていたのだ。 

 その松蔭君が映画美学校生たちが作った自主映画の上映会にきて、どの映画の出演者もすごく「ナチュラル」でうまい、それに引き換え俺の芝居はヘタクソだなあ、などと反省したりしていたのだが、いや、君は反省する必要などかけらもないのだ。いまどき「ナチュラルな演技」などありふれている。僕は君の、君にしか出来ない「芸」としての芝居を圧倒的に支持します。


西山朱子(にしやま・あかね)

今関朱子を改名。主な出演作は、舞台では『裏切りの街』(唐組)、『ファンキー』(大人計画)、『愛の罰(再演)』(大人計画)、映画では沖島勲『YYK論争 永遠の誤解』(98)、高橋洋『ソドムの市』(04)、植岡喜晴『ストレート・ノー・チェイサー』(07)など。西山洋市作品では他に、『桶屋』、『CH4メタン』、『稲妻ルーシー』、『死なば諸共』に出演している。

西山朱子コメント

純情であるだけの「千華役を」、という要請は、ひゃ、畏れ多いことで。やんわり「ん~…。無理があるのでは?」と辞退したら「やる前から出来ないなんて言うな!」と一喝され、「はい、わかりました」となりまして。で、純情というものに想いをめぐらせたら泣けちゃって。

「プロジェクトINAZUMA」BLOG2006年5月31日

西山朱子について(西山洋市)

 セリとほとんど同時に千華は西山朱子と決めていた。西山朱子も『桶屋』『CH4メタン』両方に出てもらっている。それから『稲妻ルーシー』。それぞれ、「口の利けないアナーキーな悪戯小僧(男)」「家族関係に問題を抱え、孤独で傷ついた長女」「車椅子で眼帯という異様な風体の、正体不明の怪女優」という役で、3本ともまったく違う役柄だが、それぞれに彼女の役者としての別の面が出ていて面白い。

『INAZUMA稲妻』の千華という役は、それら3本で彼女が演じた役柄が少しずつブレンドされている、と後で思った。いや、シナリオにそう書かれていたわけではなく、彼女が演じたらそうなったのだ。しかも、さらに別の面が現れていた。たとえばラストシーンの芝居と顔がそれだ。それは次の『死なば諸共』にもろに繋がってゆく。『死なば諸共』で、彼女はさらに違う側面を見せてくれるのだが、それとて予想してそうなったものではない。

 多分、彼女は宮田亜紀のように役のヴィジョンが演出家に見えるタイプの役者ではない。だが、その分、何が出てくるかわからない面白さと危険さがある。そこがいいのだ。


布川恵太(ふかわ・けいた)

98年、西山朱子が主宰する演劇集団RH+-に参加、ほぼ全公演に出演する。映画出演作に、『特殊刑事』、『稲妻ルーシー』(2作とも西山洋市)などがある。

布川恵太について(西山洋市)

 布川君には、「刑事まつり」の一篇『特殊刑事』に出てもらった。丹下左膳のような片目片腕で、時代劇の侍のように振舞う変な刑事の役なのだが、布川君の顔形は昔の丹下左膳映画で左膳をやったどの役者にも似てはいない。だが、布川君なら昔の左膳のようにセリフを言ってくれるに違いないから僕は布川君に頼んだのだ。僕は特に、彼の声とセリフに対するセンスや能力を買っているのだ。彼の芝居(舞台)を始めて見たときから、僕は彼のセリフ力に注目していた。彼なら「芝居として」丹下左膳が出来る、そういう確信があった。それは間違っていなかった。それは、実は簡単なことではないのだ。布川君は落語が好きだが、それが彼のセリフ回しに感覚的に生きているのではないか。それは芝居の素養として実に大きいと思う。映画に、「今」ではない「時代」の時間を発生させることが出来るセリフ回しがやれる役者は、いまや有名俳優を眺め回しても、ごく少ないのではないか。現代劇にも「時代」を導入したい僕にとって布川君は貴重かつ重要な役者なのだ。『INAZUMA稲妻』で作ろうとした「半分時代劇」みたいな雰囲気の多くが布川君の芝居に負っていることは間違いない。


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