みつかるまで


Mmitsukarumade

心震える瞬間がほしい…
本当の自分を見つけるため、わたしは彼と列車に飛び乗る

あらすじ

 「ぽたん、と水滴が落ちて波紋が広がる……。そんなふうに世界が震えて生き生きしてくる特別な瞬間を表現したい」。高い理想を抱いて絵を描いてきた画家・芳美(板谷由夏)は挫折して自分を見失い、今は電車の中で盗みを働く日々を送っていた。

そんな彼女の前に現れた謎の青年・哲史(水橋研二)。「夜の町を走って逃げるあんたの姿、カッコよかった。流れ星みたいで」。哲史は人懐っこい笑みを浮かべて芳美につきまといだす。

だが、二人で盗みを働いたあと、絵が描けなくなった苦しみをふと口にする芳美を見て、哲史は言う。「どこか遠くに行かないか。そうすれば、おれもあんたもきっと変われると思うんだ」。

芳美は哲史を尾行しているらしい男(諏訪太朗)に気づく。どうやら哲史と行動をともにするのは危険なようだった。でも、彼となら世界が震えるような特別な瞬間がつかめるかもしれない。芳美は哲史と一緒に列車に飛び乗り、町を出て行こうとするが……

☆解説☆
 映画が始まってすぐ、芳美(板谷由夏)はひとのカバンを盗むためにモノレールに乗りこむ。こういうとき、一般の乗客のふりをしながら、どこかにいい獲物はいないかとさりげなく周囲を観察するのが、泥棒の正しいあり方(?)だろう。ところが、芳美はそうしない。周囲の乗客を挑戦的な目でにらみつける。一体、この気の強さは何なのか。
 芳美はかつて画家であった。「世界が震えるような特別な瞬間をつかんで描きたい」という理想を抱いていたのだが、今は挫折して絵筆を捨てていた。要するに、今の彼女の気の強さは外見だけのこと――自分の弱さを隠すための仮面であったのだ。
 だが、そんな仮面の上からでも、彼女の弱さが透けて見えてしまう瞬間がある。盗んだカバンをかかえて夜の町を走って逃げるとき、彼女の目が一瞬だけ、助けを求めているように見えるのだ。その目を目撃してしまったのが、哲史(水橋研二)だった。
 哲史はその目が忘れられず、芳美を探しだすことになる。たぶん、彼は芳美に画家に戻る道を示すことになるだろう。一体、いつ芳美は仮面をはずすのか、そしてそのとき、どんな表情を見せるのか――『みつかるまで』の一番の見どころはそこにある

『みつかるまで』
(2002年・16mm・45分)

キャスト
板谷由夏(芳美)
水橋研二(小高)
奈良坂篤(酔った男)
諏訪太朗(刑事)
内藤丈嗣(刑事)

スタッフ
製作:映画美学校(第4期フィクション高等科製作実習作品)
製作管理・進行:山口博之
脚本:藤田一朗、常本琢招
監督:常本琢招
撮影・照明:志賀葉一
録音・整音指導:臼井勝
制作主任:西村和明
脚本協力:井川耕一郎
助監督:田坂朋子、林幸善、古川裕二
制作進行:氏原大、阪上聡実、内藤丈嗣
撮影助手:宅野誠起、鎌田優子、花村也寸志
照明助手:宮本亮、杉原利明、吉田多加展
録音助手:黄永昌、関根妙子
美術:幸修司、佐々木秀明、萩原真紀子、古谷克実
スクリプター:荒野久美
メイク:清水知恵子、五十嵐広美
編集監修:筒井武文
編集:宮本亮、荒野久美、内藤丈嗣、里琉ウイ
整音:阪上聡実、関根妙子、萩原真紀子、黄永昌
撮影協力:長谷川卓也、星山裕紀
録音協力:小林徹也
車両協力:小林妙子

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